世界史Civ事典

労働者と奴隷と労働時間

アメリカの黒人奴隷
アメリカの黒人奴隷

 シヴィライゼーションでは、他国のユニットを攻撃して勝利すると、攻撃された側のユニットは消滅する。つまり、殺害されたという扱いになる。

 これが労働者や開拓者の場合は、自国の労働者に変身する。将棋ではないので、あっさりと寝返っているとは思えない。となると考えられるのは、奴隷にしているということ。

 実際、シヴィライゼーション3では敵の労働者を捕らえた場合、維持費ゼロの労働者に変身する(ただし労働効率も半減する)。

 シヴィライゼーション関連ゲームのひとつ「コールトゥーパワー」では、もっとはっきりしていて、奴隷商人というユニットが存在した。都市にやってきては市民をさらっていく、とんでもないユニットである。

労働者と奴隷は同じ?

 シヴィライゼーション5の奴隷(捕獲した労働者)は通常の労働者とまったく同じ外見で、作業も同じように行う。これが意味していることは何か。

 労働者と奴隷は何も変わらないということである。

 労働者も奴隷も、指導者(プレイヤー)の意のままに働かされる。指示されれば放射能で汚染された地域にも躊躇せずに立ち入り、マスケット兵が戦っている戦場でも熱心に道路を建設する。砲弾の飛び交う戦場も何のその、である。いちおう敵が接近すると労働者は手を止めて指導者の指示を仰ぐのだが、そのまま作業を続けさせられる労働者は少なくない。

 賃金に差があるのならば、労働者が進んで危険な場所へ赴くのは理解できる。だが、シヴィライゼーションのユニット維持費は均一である。おそらく彼らは望んで労働をしているわけではない。何らかの理由で強制的に働かされている。

 これが古代や中世の話ならまだしも、自由主義を採用している国でも一向に扱いが変わることはない。せいぜいテクノロジーの進歩によって作業効率が向上するだけである。

 自由の国アメリカでは、戦地で危険な任務に従事する従業員が募集されている。これに応じるのは特別な技能を持たず金に困った人たちで、彼らは大して良くもない給料のために戦地へ向かう。彼らは自分の意志で応募したことになっているわけだが、はたして他に選択肢が残されていたのだろうか。

 シヴィライゼーションでも、どれだけ技術が発展しようとも戦地で働く労働者がなくなることはない。さあ、これはどのように考えればよいだろうか。

変わらない労働時間

 旧作のシヴィライゼーションには労働時間という設定が存在した。過去の作品なので記憶があいまいだが、たしか8時間が標準で6時間、10時間、12時間が選べた気がする。私は古代から現代まで一貫して10時間労働に設定していた。

 新しいテクノロジーや社会制度が発明されて文明はどんどん発展し、高度になっていくにも関わらず、市民の労働時間には変化がなかったのである。

 これは人類の歴史を再現するゲームとして正しいだろうか。多くの労働者は答えるだろう。「正しい。まさにそのとおり」だと。

 1862年9月、アメリカのリンカーン大統領が奴隷解放を宣言した。今後、人類が労働から解放される日はやってくるのだろうか。

 早くやってきてください死んでしまいます。